キミは聞こえる
意識したつもりも聴こうと思ったつもりも毛頭無いのに、勝手に流れ込んできた設楽の声。
それだけでなく、彼は同時に泉の声を読み取り、あろうことか心で会話を成立させた。
(なにをしてくれたんだまったく)
私に声を送ったのか?
しかし彼の言う同類が本当ならば、送るなんてことは出来ないはずだ。
……いや、決めつけるのは早いか。自分のこの能力がなんであり、より有効に活用するためにはどうすればよいかなど、真剣に深く追求したことはない。
ただ、集中力を高めて声が流れてこないようにしただけだ。
その訓練をする上で、自然と"相手を定めてその者から心を読む方法"がセットで身にはついてしまったけれど。
……まだまだ己の力について知らないことは多い。未知の部分があまりに多すぎる。
それでいいと思っていたから。
どうせ、このような不思議な能力は自分しか持っていないのだから。
誰に打ち明けるでもない。ましてやほとんど使いもしない能力を高めてなんになる。自分の心身を守る必要最低限の訓練で充分だった。
―――いままでは。
だがそれも今日までだ、と泉は思った。思い知らされた。
いままではこれでよかった。
だが、
もう"自分しか"ではなくなったのだ。
それだけでなく、彼は同時に泉の声を読み取り、あろうことか心で会話を成立させた。
(なにをしてくれたんだまったく)
私に声を送ったのか?
しかし彼の言う同類が本当ならば、送るなんてことは出来ないはずだ。
……いや、決めつけるのは早いか。自分のこの能力がなんであり、より有効に活用するためにはどうすればよいかなど、真剣に深く追求したことはない。
ただ、集中力を高めて声が流れてこないようにしただけだ。
その訓練をする上で、自然と"相手を定めてその者から心を読む方法"がセットで身にはついてしまったけれど。
……まだまだ己の力について知らないことは多い。未知の部分があまりに多すぎる。
それでいいと思っていたから。
どうせ、このような不思議な能力は自分しか持っていないのだから。
誰に打ち明けるでもない。ましてやほとんど使いもしない能力を高めてなんになる。自分の心身を守る必要最低限の訓練で充分だった。
―――いままでは。
だがそれも今日までだ、と泉は思った。思い知らされた。
いままではこれでよかった。
だが、
もう"自分しか"ではなくなったのだ。