キミは聞こえる
――それから数分後。
「お、勝った」
……手加減をしたつもりはなかった。
それなのに。
まさかゲーム初心者の代谷に、はじめてやった対戦で負けるとは露ほどにも思わない桐野であった。
「うっそ……! ちょ、代谷もっかいだ! こんなの認められるか」
「実力では?」
不敵の笑みを浮かべる代谷にカッと首のあたりが熱くなった。
「なっ……! 言いやがったなこのやろう。おっしゃあ、今度は俺も本気で行くからな。覚悟しろッ」