キミは聞こえる
泉はリュックを下ろして中から例のもろもろを取りだした。
桐野の眉間になんとも言えない苦々しいシワが刻まれる。
「ゆ、友香姉、警棒なんか持ってんの…?」
「あと、唐辛子スプレーにスタンガン。もっと必要だったらムチとヌンチャクも用意できるって言われた。重くなるから断ったけど」
「友香姉ってゲームだけじゃなくてSMも好きだったのか」
「ううん。友香ちゃんじゃなくて、友達で好きな人がいるんだって」
「そ、そんな友達がいるのか……」
ショックと驚きを隠せない桐野の前でスタンガンのスイッチを押す。と、これでもかというほど桐野の目が見開かれた。
「―――っぶねぇな! ばっ、ばかじゃねーのおまえッ!」
ばっと飛び退る桐野に、いい気味だと泉は腹の底で笑った。
驚かされた仕返しだ。
「これ、背中にすると問題ないけど、首にすると後遺症が残るかもしれないんだって。もし次に設楽って人が近づいてきたら容赦しないんだー」
「……ぼ、棒読みでおっかねぇこと言ってんじゃねぇよ。さっさとしまえって!」
まるで爆発物でも近づけられているかのように及び腰で桐野はばっばっと手を振る。
なおも笑いながら泉は言われた通りリュックに戻した。
「だから弟君に迷惑はかけないよ」
「いざってときに使えなかったらどうすんだよ。おまえ、運動神経いいの?」
「……」
そこを尋ねられると言葉に詰まる。
頭上からため息が落ちてきた。肩をすくめて桐野は言う。
「ほらみろ。まぁだいたいそんな気はしてたけど」
「……」
だからそういう一言が余計なんだよ! と心の中で突っ込む。
本当はもちろん口で言ってやりたいところだけれど、運動神経がないことは事実であり、なかなか強く言い返せない。
すごく、悔しい…!!
桐野の眉間になんとも言えない苦々しいシワが刻まれる。
「ゆ、友香姉、警棒なんか持ってんの…?」
「あと、唐辛子スプレーにスタンガン。もっと必要だったらムチとヌンチャクも用意できるって言われた。重くなるから断ったけど」
「友香姉ってゲームだけじゃなくてSMも好きだったのか」
「ううん。友香ちゃんじゃなくて、友達で好きな人がいるんだって」
「そ、そんな友達がいるのか……」
ショックと驚きを隠せない桐野の前でスタンガンのスイッチを押す。と、これでもかというほど桐野の目が見開かれた。
「―――っぶねぇな! ばっ、ばかじゃねーのおまえッ!」
ばっと飛び退る桐野に、いい気味だと泉は腹の底で笑った。
驚かされた仕返しだ。
「これ、背中にすると問題ないけど、首にすると後遺症が残るかもしれないんだって。もし次に設楽って人が近づいてきたら容赦しないんだー」
「……ぼ、棒読みでおっかねぇこと言ってんじゃねぇよ。さっさとしまえって!」
まるで爆発物でも近づけられているかのように及び腰で桐野はばっばっと手を振る。
なおも笑いながら泉は言われた通りリュックに戻した。
「だから弟君に迷惑はかけないよ」
「いざってときに使えなかったらどうすんだよ。おまえ、運動神経いいの?」
「……」
そこを尋ねられると言葉に詰まる。
頭上からため息が落ちてきた。肩をすくめて桐野は言う。
「ほらみろ。まぁだいたいそんな気はしてたけど」
「……」
だからそういう一言が余計なんだよ! と心の中で突っ込む。
本当はもちろん口で言ってやりたいところだけれど、運動神経がないことは事実であり、なかなか強く言い返せない。
すごく、悔しい…!!