キミは聞こえる
翔君を助けたいと思った。
その気持ちに偽りはない。
助けてあげたいと思う。安易な気持ちで言ったわけじゃない。
自分のためではなく、彼のために。友香のためにも、私がなんとかしてあげたい。
けれど、自分にそれが出来るのか。
問いかける。
問いかけて、すぐさま首を振る。
……そうじゃない。
出来るか、ではないのだ、もう。
やらなきゃ。
もどかしい思いを抱えていることを自覚しながらも、踏み出す勇気から目を背けてばかりいては、なにも変わらない。
佳乃は、変わった。あのときから。
ならば、私だって。
すと、鏡の自分に指先を這わせる。
怖がらずに、運命を、
受け入れて―――。
「自分の心を、開くこと」
指を折り曲げて手のひらにしまい入れる。鏡の中の自分と、拳を付き合わせる。
だいじょうぶ。
言い聞かせる。
浴室の窓から見えた空は、嘘のようにそこだけ雲が切れていた。
綺麗な月が、浮かんでいた。
その気持ちに偽りはない。
助けてあげたいと思う。安易な気持ちで言ったわけじゃない。
自分のためではなく、彼のために。友香のためにも、私がなんとかしてあげたい。
けれど、自分にそれが出来るのか。
問いかける。
問いかけて、すぐさま首を振る。
……そうじゃない。
出来るか、ではないのだ、もう。
やらなきゃ。
もどかしい思いを抱えていることを自覚しながらも、踏み出す勇気から目を背けてばかりいては、なにも変わらない。
佳乃は、変わった。あのときから。
ならば、私だって。
すと、鏡の自分に指先を這わせる。
怖がらずに、運命を、
受け入れて―――。
「自分の心を、開くこと」
指を折り曲げて手のひらにしまい入れる。鏡の中の自分と、拳を付き合わせる。
だいじょうぶ。
言い聞かせる。
浴室の窓から見えた空は、嘘のようにそこだけ雲が切れていた。
綺麗な月が、浮かんでいた。