キミは聞こえる
けらけらと過去を思い出し笑う二人に、泉は驚きで目をぱちぱちする。
通っていた女学園はとにかく規律が第一で、教師と言えばもう絶対的な存在だった。
時間厳守は当たり前だし、先生を無視したら成績表をひらつかせられた。
自由というものはほとんど皆無で、縛られた生活の中にいる生徒たちは皆、真面目を絵に描いたような人間ばかりだった。
(ぜんぜん、ちがう)
当たり前だと思っていたものは、ここではまるで正反対。
泉がいくら信じられないと言ってもここではそれが常識で、逆に、泉の常識はここの者たちにあり得ないと突っ込まれるものなのかもしれない。
外にはまだまだ泉の知らない、度肝を抜かれるような学校がたくさんあるのだ。
それは、千紗や響子が話すような、過去を話題にしても楽しく笑い合うことの出来る、そんな生活が送れる環境の学校だったりするのだろう。
想像して、すこし胸がざわついた。