キミは聞こえる
自然、眉間に力がこもる。
つい最近も感じた、泉をちくちくと刺激するあの不快感とそれはそっくりだった。
針で刺されているような痛みではなく、なにか念のようなものを送られているような気持ち悪い重圧。
泉はちらりと窓に目を向けた。
真っ黒な窓に映るのは、泉のいる明るい室内。
窓の一番近くにいる自分と、千紗たちが今まで使っていた机、カバンなどなど。そして――。
さっと顔を背けた一人の少女。背中が半分ほど窓に映り込んでいる。
(こいつか……)
泉はついため息を吐いてやりたいのをぐっと我慢して、顔半分を手のひらで覆った。
軽く頭痛がした。
そういえばいたな、班にもう一人、と今さらになって思い出す。
一班八人の各クラス四グループ。
男子女子は四人ずつが基本で、泉たちの班はきちんと四対四で構成された。
千紗と、響子と、自分と、この背中半分女の四人だ。
名前は………知らない。
泉の中では挙動不審さん。しおりをめくる。
ああ、そうそう。
栗原(くりはら)さん。
栗原佳乃(よしの)さんだ。