キミは聞こえる
「な、なあ代谷」

 なに、と無言で先を促すと、桐野は肩を落とした。

「だからまたそう……なんか言えっつーの」
「わかった、今度から気をつける。で、用件は?」
「お、おまえなぁ……」

 ぼりぼりと頭をかく桐野。

 泉に言わせれば桐野は余計が多過ぎだと思う。

「まあいいや。俺が慣れればいいことだもんな。そういえば、昨日の千紗の財布? どうなった? 見つかったか?」
「見つかった」

 その答えに、単純な桐野のことだから、そうかそうかーそれはよかったなー、と手放しで喜ぶだろうと思った。

 思ったのだが、予想は外れた。


「代谷が、見つけたのか?」
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