キミは聞こえる
「なん…でしょうか……?」
四等分にした里芋の煮物をさらに八等分十六等分―――ここまでくるともはやペーストというほどにまで崩しながら聞き返すと、
「代谷さんて、彼氏とかいるの?」
「……は? かれし?」
今日初めて佳乃の顔をまともに見た。
興味津々に尋ねる佳乃の視線が異様に熱い。
とそこで、泉たちの会話が聞こえる距離で昼食を取っていた千紗たちが敏感に反応した。
「それ、私も気になるなあ」
「私もー。泉の恋バナって聞くのはじめてじゃん? 超興味ある」
「……興味って」
「なになにー? 代谷の恋愛話? それ俺も聞きたーい」
……出たよ元祖マイペース。
場の空気を読まず、男女を気にせずどこにでもずかずかと割り込んでくるやつにマイペースと呼ばれるのが、やはりどこか腑に落ちないように思うのは、気のせいだろうか。
「ご期待に添える返事は返せないけど」
「それはつまり?」
首を傾げる佳乃に泉ははっきりと言った。
「彼氏なんていない」
小中と女子校だったのに出会うきっかけもないだろう。
というよりまず。
面倒が大嫌いの泉に彼氏?
―――はっ。
泉は腹の底で一息に嗤った。
答えは簡単。
いるわけないだろ、そんなもん。
それこそ、聞くだけ無駄というものである。
四等分にした里芋の煮物をさらに八等分十六等分―――ここまでくるともはやペーストというほどにまで崩しながら聞き返すと、
「代谷さんて、彼氏とかいるの?」
「……は? かれし?」
今日初めて佳乃の顔をまともに見た。
興味津々に尋ねる佳乃の視線が異様に熱い。
とそこで、泉たちの会話が聞こえる距離で昼食を取っていた千紗たちが敏感に反応した。
「それ、私も気になるなあ」
「私もー。泉の恋バナって聞くのはじめてじゃん? 超興味ある」
「……興味って」
「なになにー? 代谷の恋愛話? それ俺も聞きたーい」
……出たよ元祖マイペース。
場の空気を読まず、男女を気にせずどこにでもずかずかと割り込んでくるやつにマイペースと呼ばれるのが、やはりどこか腑に落ちないように思うのは、気のせいだろうか。
「ご期待に添える返事は返せないけど」
「それはつまり?」
首を傾げる佳乃に泉ははっきりと言った。
「彼氏なんていない」
小中と女子校だったのに出会うきっかけもないだろう。
というよりまず。
面倒が大嫌いの泉に彼氏?
―――はっ。
泉は腹の底で一息に嗤った。
答えは簡単。
いるわけないだろ、そんなもん。
それこそ、聞くだけ無駄というものである。