キミは聞こえる
 途端、肩が地味に重くなった。


 ……だが、これは設楽本人にも問題があるだろう。


 こうして手を振るような自分も(かは知らないが)相手も恥ずかしくなる行動を取らずとも、あの英語の時間、

 教科書に奇跡的に載っていたI love you.を訳してくれとか言ってくれればさすがの泉だって設楽の隠された想いに気づけたかも知れないのに。

 と考えて、首を振った。

 それこそ、


 おまえ、馬鹿じゃねえ。


 と鼻で嗤っただろう。

 考えれば考えるほどあり得そうで自然、遠い目になっていく。

 
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