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それから大人になって、恋愛も
何度か経験した。
しかし、女の人が怖かった。
笑う姿も泣く姿も、あの日の
母と重なった。
付き合えはしたが、愛すること
は出来なかった。
そんな頃、出会った女の子。
死のうとしていた女の子は母に
謝っていた。
どんなに殴られ、虐められても
母を信じ、自分を責めた。
その姿が自分と重なった。
傷ついた女の子を助けたのは
総二郎だった。
女の子を慰め、優しく笑った
総二郎に凌慈は救われた。
雨の中、たたずむ凌慈に総二郎
は一緒に来いと……
『想を一緒に守ってやって
くれんか?』総二郎は言った。
まだ小さいくせに、強がって
笑う想が痛々しくも、凌慈には
強く見えた。
「俺は想の笑顔を助けられたん
かもな……」煙草の火を消すと
凌慈は言った。
母を守ってやれなかった。
だからこそ、想は守ろうと凌慈
誓った。
「一番深い傷背負ってんのは、
想やのに……俺らは想に助けて
もらってるんやろな」凌慈は
再び煙草に火をつけた。
新しい煙草が燃える匂いが
秦利の鼻をくすぐった。
夜空を眺め、秦利は小さく欠伸
を洩らした。
何度か経験した。
しかし、女の人が怖かった。
笑う姿も泣く姿も、あの日の
母と重なった。
付き合えはしたが、愛すること
は出来なかった。
そんな頃、出会った女の子。
死のうとしていた女の子は母に
謝っていた。
どんなに殴られ、虐められても
母を信じ、自分を責めた。
その姿が自分と重なった。
傷ついた女の子を助けたのは
総二郎だった。
女の子を慰め、優しく笑った
総二郎に凌慈は救われた。
雨の中、たたずむ凌慈に総二郎
は一緒に来いと……
『想を一緒に守ってやって
くれんか?』総二郎は言った。
まだ小さいくせに、強がって
笑う想が痛々しくも、凌慈には
強く見えた。
「俺は想の笑顔を助けられたん
かもな……」煙草の火を消すと
凌慈は言った。
母を守ってやれなかった。
だからこそ、想は守ろうと凌慈
誓った。
「一番深い傷背負ってんのは、
想やのに……俺らは想に助けて
もらってるんやろな」凌慈は
再び煙草に火をつけた。
新しい煙草が燃える匂いが
秦利の鼻をくすぐった。
夜空を眺め、秦利は小さく欠伸
を洩らした。