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大切なもの
秦利が西地区に来て、2週間が
経とうとしていた。
秦利は総二郎に頼まれ、下へ
新聞を取りに行くと、見知らぬ
男がビルの様子を窺うように
眺めていた。
男は秦利に気づくと、驚いた
顔をして、会釈をした。
「秦利!!ポストん中に……」
総二郎は男に気づき、急いで
降りてくると、秦利に上に行く
ように言った。
秦利が上に行くのを見届ける
と、総二郎は男と向き合った。
「…何の用ですか?」
「想の父親です」男は言った。
しばらくして、総二郎が上に
上がってきた。
秦利は勿論のこと、全員の視線
が総二郎に集まる。
「あー道、聞かれただけや。
大したことやなかった」笑い
ながら、総二郎は言った。
「総兄…メッチャキレてる」想
は秦利へ小さな声で言った。
秦利は想の言う通りに、拳の元
へ避難することにした。
まだ朝早かった為、外は比較的
涼しく、2人はのんびりと、
商店街を歩いていた。
会話も無く、うつ向いていた秦利
だったが、何となく顔を上げた
ときだった。
「…純!?」見覚えのある帽子を
被った少年は人混みの中に
消えようとしていた。
あの帽子は秦利が純の誕生日に
あげた帽子……
経とうとしていた。
秦利は総二郎に頼まれ、下へ
新聞を取りに行くと、見知らぬ
男がビルの様子を窺うように
眺めていた。
男は秦利に気づくと、驚いた
顔をして、会釈をした。
「秦利!!ポストん中に……」
総二郎は男に気づき、急いで
降りてくると、秦利に上に行く
ように言った。
秦利が上に行くのを見届ける
と、総二郎は男と向き合った。
「…何の用ですか?」
「想の父親です」男は言った。
しばらくして、総二郎が上に
上がってきた。
秦利は勿論のこと、全員の視線
が総二郎に集まる。
「あー道、聞かれただけや。
大したことやなかった」笑い
ながら、総二郎は言った。
「総兄…メッチャキレてる」想
は秦利へ小さな声で言った。
秦利は想の言う通りに、拳の元
へ避難することにした。
まだ朝早かった為、外は比較的
涼しく、2人はのんびりと、
商店街を歩いていた。
会話も無く、うつ向いていた秦利
だったが、何となく顔を上げた
ときだった。
「…純!?」見覚えのある帽子を
被った少年は人混みの中に
消えようとしていた。
あの帽子は秦利が純の誕生日に
あげた帽子……