宮地岳線
西鉄宮地岳線は福岡市の東、貝塚を起点に玄界灘に面した津屋崎までを約四十分かけて結ぶ、二両編成の単線のローカル線だ。
終点津屋崎の一つ手前の駅が「宮地岳(みやじだけ)」、健太は自宅のすぐそばにあるこの駅から、毎朝七時二十分の貝塚行きの電車に乗って、香椎にある高校まで通っている。
この電車が宮地岳線全区間のちょうど中間にあたる「三苫(みとま)」駅に着くのが七時四十分、“あの人”は毎朝この駅から乗ってくる。
“あの人”は席があいていても、決して座らない。いつも必ず、進行方向二両目の、一番後ろのドアの脇に立つ。
着ている制服から、福岡でも有数の進学校であるS学院の生徒だ。顔立ちばかりでなく、全体の雰囲気からも高い知性と品性を感じさせる。
しかし、それを表情(おもて)に出さず、あくまでも普通に振る舞っているところに、いつも斜め向かいの席から彼女を見ている健太は好感を抱いた。
そして健太の目を何よりも惹いたのが、彼女が今時の女子高生には珍しく髪をポニーテールに結っていることだった。
終点津屋崎の一つ手前の駅が「宮地岳(みやじだけ)」、健太は自宅のすぐそばにあるこの駅から、毎朝七時二十分の貝塚行きの電車に乗って、香椎にある高校まで通っている。
この電車が宮地岳線全区間のちょうど中間にあたる「三苫(みとま)」駅に着くのが七時四十分、“あの人”は毎朝この駅から乗ってくる。
“あの人”は席があいていても、決して座らない。いつも必ず、進行方向二両目の、一番後ろのドアの脇に立つ。
着ている制服から、福岡でも有数の進学校であるS学院の生徒だ。顔立ちばかりでなく、全体の雰囲気からも高い知性と品性を感じさせる。
しかし、それを表情(おもて)に出さず、あくまでも普通に振る舞っているところに、いつも斜め向かいの席から彼女を見ている健太は好感を抱いた。
そして健太の目を何よりも惹いたのが、彼女が今時の女子高生には珍しく髪をポニーテールに結っていることだった。