宮地岳線
健太はルックスはいい方だ。
この二年の間に、告白(こく)られたことだってある(もちろんその子にはゴメンナサイしたが…)。
しかし、健太は決して“軽いオトコ”ではないし、またそう思われることは心外だった。

「…で、ヤったの?」
「あったりめぇじゃん」
ああ、またはじまった…。
健太はウンザリした。
岡島要太。
自他共に認めるヤリマン。
校内一の合コン大王。
“ヤった”女は数知れず。
そのことをああやって教室で自慢する下品なバカ男…。
岡島はどう見てもイイ男とは思えない。
でも、何故か女子たちに人気がある。
口を開けば“ヒッカケた”だの“ヤった”だのばかりのこの男のどこがいいのか、健太にはさっぱりわからない。
俺がもし女だったら、こんなのとは絶対にイヤだね。見るからに汚そうだもん、ハダカとか…。
「でさ、相手のオンナ、どこの学校だと思う?」
「え、どこ?どこ?」
「Sガク」
つまりS学院―と聞いて、それまで聞くまいと努力していた健太はピクンと反応した。
必然的に、“あの人”の姿が脳裏に浮かぶ。
「え、マジぃ?Sガクってめっちゃアタマいいトコじゃん」
「それがさ、意外いるんだよ、ヤラセてくれんのが…」
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