Strange
――「そんな日々が半年くらい続いたある日…あの日は唐突にやってきたの。」

君の、アリスの言う“アリス”が入院時代に出会った人というのはおそらく僕の祖父だろう。
アリスの話を聞きながら僕はそんな事をひたすらぼんやりと考えていた。君がいったいこれから何を伝えようとしているのか、真意はわからなかったけれど懐かしむように笑って話す君の瞳の奥に“誰にも動かせない決意”のようなものが見えた気がして、ただ頷いて話を聞いているリョクもきっと何かに気づいていたんだと思う。
僕はその“何か”がとてつもなく恐くて、目をそむけたくて、アリスの話を聞くフリをしながら祖父の事を思い出していた。

【アリスと美月 ~思い出~ END】
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