Strange
「……アメリカに、行くの?」
ようやく翔の口から出た言葉にアリスはうなずかずに笑顔で肯定を返した。
アリスの頬を伝う涙は渇くことなく流れている。
「でもっ、すぐ帰ってくるんだろ?」
震える言葉を隠すように笑ってみせる。
「…手術が成功しても、リハビリとか…最低でも3年は帰ってこられないみたい。」
「でも、でもっ…ほらっ、三年なんて早いし。電話とか手紙とかさ……」
どこか無理して作った笑顔でつむいだリョクの言葉をアリスは首を振ってさえぎった。
「手術が成功しても失敗でも、二人には…もう連絡もしないし会わない。今日でお別れ。」
「どうして?」
「だって、そうすれば私は生きていられるもん。たとえ死んでも、みんなが私は生きてるんだって信じてくれてれば、私は生きていられるから。」
涙をぬぐったアリスの瞳からはもう涙は流れなかった。
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