Strange
どうしようかと一瞬考えたが、再び足を進めその男の子のところまでいくと木から風船を外し手渡してあげた。
「お兄ちゃんありがとう!!」
満面の笑みでお礼を言った少年は、風船についていた紙を外して音読しはじめた。
「あ、な、た、は……を…し、て、ま、す、か???」
男の子は漢字やカタカナはを飛ばし平仮名の部分だけを読んで首をかしげていた。
「どれどれ?」
男の子の手の中の紙を覗き込む
[あなたは青春をエンジョイしてますか?]
紙に書かれていたのはその一文だけだった。
『青春という言葉が流行っているのだろうか?』なんて考えつつ男の子と別れて家への道を再び歩きだす。
ふいに祖父の事を思い出していた。
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