Strange
「あら斎藤さん。お久しぶりです。」
美砂がカウンター越しに言ってからカウンター内から出て、手を差し出す。
斎藤さんと呼ばれた老人は、差し出された手と握手して
「元気でしたか?」
と、微笑んだ。
「斎藤さん、お久しぶりです。最近ますますお忙しいみたいですね。」
藤堂が言って、美砂に続いて握手する。
「いゃいゃ、そろそろ息子に後をまかせて引退しようかと思いましてね、やっとここでゆっくり珈琲を飲むことができます。」
翔達は、斎藤が帰った後で、斎藤の正体が実は誰もが聞いた事のある大企業の社長だと知る事になるのだが、その時はただ、藤堂に珈琲の入れ方を手ほどきをした先生のような存在だと聞かされていた。
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