Strange
「できた。」
教えられた通りに入れた…つもりだがどこか自信なく珈琲の入ったカップを斉藤に差し出す。
その場にいた全員の視線が翔から斉藤に移る。
斉藤は出された珈琲の色を眺め、香りを楽しんでからゆっくりとカップに口をつけた。
「………。」
数秒の無音。
「うん、いい味です。」
ホッと息を一つ吐き出した翔は、残りの珈琲をカップに注ぎ自分も飲んでみた。
「…ん?」
もう一口
「…味、薄い。」
どうやらお湯注ぐ時に失敗してしまっていたらしい。
ハッとして斉藤を見る。カップの中の珈琲は半分くらいまで減っていた。
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