Strange
5歳の翔はおじいちゃん子だった。
祖父はおもしろい人で、常に“ロマン”を追いかけていた。
『翔』という漢字を“しょう”と読み違えた経緯で“翔(カケル)”の事を“しょう”と呼ぶようになったらしいが、ある時
「ショウではなんだか呼びづらいから、ワシはこいつを“ショウタ”と呼ぶ事にする!」
と言い出した。
勝手な改名を誰も止めなかったのか?そこは不明だが翔が物心つく前の事なので、翔は祖父に“カケル”と呼ばれた事はない。ある時不思議に思って
「どうしておじいちゃんは僕を“ショウタ”って呼ぶの?」
祖父に問うと、祖父は少し考えてからこう答えた。
「それはな、名前が2つあるほうが、ロマンがあるからさ!」
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