Strange
カラン♪

朝一で秘密基地に来ていた翔はStrangeの指定席に腰かけてリョクを待っていた。
9時30分頃、店のドアを開けたのはリョクではなかった。
そこには、テレビで見た失踪していた歌手が立っていた。
「……ショウタ。早かったんだね。」
人気歌手Ryoは、翔の姿を見つけ苦笑すると向かいの席に腰掛けた。

「………」
「………」

「あの、リョクくん…よね?」
何から話せばいいのか男二人が無言で向き合っている中、二人に紅茶を出しながら美砂が気まずそうに問いかける。問われた方は数秒置いてから
「はい。」
頷いて
「すみません」
謝った。
「………」
「………」
「美砂、友達同士だけで話したい事もあるだろうしまだアリスちゃんが来ていないんだから。」
藤堂は優しく言って妻をカウンターの方へと呼んだ。
「今日は、全部話そうと思ってきたんだ。」
「うん」
「隠してた事、ごめん」
「うん」
「なかなか言い出せなくて」
「うん」
リョクの言葉に翔は『うん』と頷く事しかできずにいた。
いゃ、目の前にいる人物がリョクだとはまだ思えずにいた。


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