Strange
「おいしかった~!」
ホールケーキの約3分の2はアリスのお腹の中へと難なく吸い込まれていた。
「あっ、ねぇリョク。芸能界に復帰するって事はこれから急がしくなるんでしょう?今日は大丈夫なの?」
ケーキに満足したアリスが、おそらく部にとって重大な話題をサラリと口に出す。
「あっ…うんそうなんだ。今日は大丈夫なんだけど…たぶんもうここに来るのは難しいと思う。でも、来られる日は来るよ。」
「そっか…うん、じゃあ今日で終わりにしよっか!」

アリスの言葉の意味を察するのに二人は数分かかった。

「「えっ?」」

同時に言って同時にアリスを見る。
「だってほら、もうすぐ夏休みも終わるし。そしたらショウタとだって予定あわなくなるかもしれないし。私もね、何かと…大学の課題とか大変になるんだ。」
悪びれずに言って
「でもほら、終わりって言っても3人の関係は変わらないし、携帯で好きな時に連絡は取れるし…ただ、こうして毎週二日集まるのは今日で最後って事!」
言葉を付け加えたアリスはいつもの調子で笑ってみせた。
「今度はさ、同窓会みたいなのを何ヵ月後とか何年後とかにしよう!ねっ☆」
リョクも翔も何も言わずにただ、アリスを見つめている。
笑っているアリスの瞳に涙が溜まっているように見えて、でも必死にいつも通り振舞うアリスに何も言う事ができずにいた。
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