Strange
「いらっしゃい。あぁ、ショウタくん。」
「おや、久しぶりですね。」
藤堂と一緒に迎えてくれたのは常連客の斉藤だった。
「斉藤さん。お久しぶりです!」
「珈琲、上手に入れられるようになったんですってね?」
「まだまだですよ。」
他愛のない会話を交わす。
「そういえば、先ほどはアリスさんがいらしていてね。今日は彼女が珈琲を入れてくださいました。」
「アリスが?」
無意識に顔が赤くなった気がした。
「彼女は本当にいい子ですね。とても真面目で優しい子です。でも、それ故の悩みもきっと多いのでしょうね。」
斉藤はアリスの入れたのだという珈琲の入ったカップへと視線を落とした。
「それ故の悩み?」
「いぇ、勝手な私の想像ですよ。」
翔の問いにそう答えて斉藤は
「今日はそろそろおいとまします。次はまた君の珈琲を飲ませてくださいね」
と一礼して店を後にした。