Strange

「…ショウ…タ？」
背後からの呼びかけに振り返るとそこにはアリスがいた。
「なんでここに…？」
いつもとは違い、驚きというよりは困惑を示した表情がそこにはあった。
「…え…と、友達のお見舞いに…だけど、アリスは？」
そんなアリスに翔の方が困惑しつて言葉に詰まりつつもそう返す。
「私は……私も……」
「？」
「ちょっと最近風邪気味だから本格的に風邪をひく前に看てもらおうと思ってね！」
少しの間言いよどんで、すぐに明るい声でそう返したアリスの表情はいつもの笑顔に戻っていたが、翔にはアリスが無理しているようにしか見えなかった。
「そっか、こじらせないように気をつけて。」
無理やり作った笑顔で言って軽く手を上げる。
何故かこれ以上そこにいてはいけないように感じていた。
「うん、じゃあね！」
変わらぬ笑顔で大きく手を振ってアリスは翔を見送る。
数歩進んだ場所で一度振り返るとアリスはまだ手を振ってくれていた。
「あのさ、アリス。…その…あのさ…」
ふいに今の気持ちを伝えるべきなのではないかという思いにかられ真っ直ぐにアリスの瞳を見つめる。
体中が心臓になったかのように激しく脈打つ鼓動を落ち着けるために息を大きく吸い込んでみても心臓が落ち着いてくれる様子はない。
震えそうになる声をおちつけるようにゆっくりと言葉をつむぐ。

「好きなんだ、アリスの事が。」