レンアイ思想
あぁ、これね、とアキラ君が財布を見つめる。
「俺ねぇ、体が磁石みたいなんだよ」
と、突然、ワケの分からないことを口にした。
「・・・え?」
私は目を大きくして、アキラ君の意味不明な発言に戸惑った。
「何かね、落し物とか、すげー見つけちゃうんだ俺。あんまりにもいっぱい見つけちゃうから、サービスカウンターにまとめて出そうと思って。」
あぁ・・・、
そういうこと。
「なるほど、たしかに、落し物を引き付ける磁石みたいだねぇ」
私は一人でうんうんと納得していた。
「でも、サービスカウンターに届けるのも、何だか面倒になっちゃって・・・。」
アキラ君は引き出しを閉めた。