レンアイ思想

あぁ、これね、とアキラ君が財布を見つめる。




「俺ねぇ、体が磁石みたいなんだよ」



と、突然、ワケの分からないことを口にした。



「・・・え?」



私は目を大きくして、アキラ君の意味不明な発言に戸惑った。




「何かね、落し物とか、すげー見つけちゃうんだ俺。あんまりにもいっぱい見つけちゃうから、サービスカウンターにまとめて出そうと思って。」





あぁ・・・、



そういうこと。



「なるほど、たしかに、落し物を引き付ける磁石みたいだねぇ」



私は一人でうんうんと納得していた。




「でも、サービスカウンターに届けるのも、何だか面倒になっちゃって・・・。」



アキラ君は引き出しを閉めた。




< 98 / 166 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop