【7番目のGood Luck!】


彼は老紳士から、あの金を
貰う事をその後も頑なに
拒み続けた。


それでも、せめて財産の
半分は受け取ってくれと
頼み込まれていた。


老紳士はいつまでも
受け取ろうとしない
エリオットに条件を提示した。


自分の代わりに今、自分が
世話をしている孤児院の

子供達の面倒をみる
後継者になってくれと
頼まれたのだ。


エリオットはとうとう
『Yes』と言った。


彼はこの2年の間に
大きく変貌を遂げていた。


いつかのケビンの様に
彼を『坊っちゃん育ち』と
罵る者も居ない。


その後、銀行から僅かな
融資を受けてビルの一画に
オフィスを設け、地道に
仕事をこなして来た。


事務所は思った以上に
順調に進んでいる。


未だに老紳士から譲られた
財産には一切手を着けては
いない。


そして今日、
ジェニファーを食事に
誘うと言うもう一つの
願いを叶えようと
やって来たのだ。


カウンターに置かれた
1000$は、エリオットが
地道に稼いだお金だ。


ジェニファーを連れて行く時に


きっと店主は
『人手が足りない』と
嘆くに違いない。


彼は働いて稼いだ金で
店主から時間を買ったのだ。



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