【7番目のGood Luck!】
『済みません。少しの間、
ジェニファーをお借り
しますよ‥。』
そう店主に告げ、彼女を
エスコートしながら店を
出る時、彼は軽く後ろ手に
手を振り去って行った。
『‥人手が足りないんだ。
さっさと飯が終わったら
帰してくれよ…!』
それ以上、何も言わず店主が
二人の背中を見送っていた。
ジェニファーが受け取った
薔薇の花束には例に洩れず、
《13》本の薔薇が入っていた。
以降、彼を取り巻いていた
《13》の数字の効力は
7つの奇蹟を残して消え、
後には彼の本当の実力だけが
残されていた。
7番目のGood Luck!
(幸運を祈る!)
それはエリオットが本当の
自分を見付ける為に起こった
必然的な偶然だったの
だろうか‥。
今日もまた何処かで
あの嗄がれた男の声で
一つの数字を告げる電話が
あるかも知れない。
貴方は道に迷っては
いないだろうか‥?
いつか貴方の元にも
そんな電話が掛かって
来るかも知れない‥
何処に繋がるかは貴方次第…
ですがね…。
RRRRRRR‥
『はい?
少々お待ちを‥
貴方にお電話ですよ‥。』
―END―