【7番目のGood Luck!】
エリオットは、この街の
カジノでウェイターの
仕事をしている。
故郷を離れてから
もう5年にもなる。
故郷の両親には要らぬ
心配を掛けぬよう弁護士の
仕事をしていると手紙には
書いてある。
店の客は観光客や紳士淑女
ばかりではない。
時折マフィアに通じる者達も
出入りしている。
勿論、そんな輩には
極力お近付きにならないよう
巧く振る舞って来た
つもりだが‥
彼の父は会社を経営している。
彼の父が常々口煩く
言っているのは利益、体裁、
社の信用‥。
《息子がマフィアとの
黒い繋がり》なんて
ゴシップをでっち上げ
られれば、猟銃を持ち出して
来かねない。
だから尚更、仕事の事は
両親には言わずにいる。
これまで彼は父親が
敷いて来たレールの上を
何の躊躇いも無く歩いて
来た。
Law School(法学部)では
常にトップクラスを目指し
父の会社の重役席から
行く末は社長の椅子まで
約束されていた。
しかし、彼は優等生であり
続ける事に辟易して
しまったのだ。