天使の恋模様
―俺は、天使の前にひざまずいた。
そして。
天使との契約を始める。
「私―は、この者と契約を交わす。」
鈴の音のように澄んでいて、でもどこか威厳があり、朗々とした声。
天使の名前は、聞き取れなかった。
俺は聞こうと思ったが、「契約は聖なるもの!契約中は絶対に喋らないでっ!!」と念を押されていたのを思い出して慌てて口を噤んだ。
「この者との契約の印(あかし)をここに刻む。」
そう言って天使はしゃがみこんで…
俺の瞳をまっすぐに見つめた。
驚くほどに澄んでいて綺麗なその瞳に俺は思わずどきっとした。
顔が近い。
頬が熱い。
心臓がうるさい。
思考が停止する。
ぎゅっと目をつぶって―。
少女の唇が、俺の額にぎこちなく触れた。
その瞬間。
俺と天使を中心に光が溢れだした。
眩しすぎるその光に俺は思わず目をつぶった―。