天使の恋模様
「そういえばねっ♪今日、私たちのクラスに転校生が来るのよっ!」
「転校生?」
「そうそう。転校生っ!しかも、女の子らしいのよー!仲良くできるかな?!」
わくわくした様子でそう告げるなごみ。
なごみは優しいし、可愛いし、頭もいい、才色兼備だしな…
仲良くできない子なんてそうそういないだろうなぁ…
だが俺にはまださっきのことが信じられず…ほとんど上の空で、ろくに返事などしなかった。
今だに状況が理解できない俺の手を躊躇なくにぎって、ぐいぐい引っ張るなごみ。
早く早く!、と俺をせかす。
ほんと…こんなに良くできる幼馴染を持って、俺はラッキーだよな。
なごみには、世話になってばかりだ。
まぁ…恋愛対象じゃあないけどなー…
***
朝、学校に着くと一番にのぞく靴箱は幼馴染のあの人。
「毎日、毎日…本っ当に好きだねぇ…秋の事。アイツのどこがいいの?」
「ふふっ。本当に仲が良くて…羨ましいです。」
一緒に登校してきた実月(みつき)と小凛(こりん)に茶化される。
「へ?い、いや?!お、幼馴染として、安否がきになるなぁー…って…」
「あー、はいはい。幼馴染として、ね。」
にやにやしながらなごみの顔を覗き込む実月。
ふふっ、と柔らかく微笑む小凛。
二人とは小学校からの付き合いだけに…心を読んでるみたい…。
「もう…!二人ともっ!」
なごみはぷくっと、頬を膨らませた。