着ぐるみの恋
修二がドアを開けた瞬間…デスクを前に父親が修二を見た。
哀しき親子の再会。
修二が先に口を開く。
「お久し振りです」
「何だ?誰が勝手に部屋に入って来ていいと言った?」
直接来なきゃ、会ってくれる筈ないだろう…修二は思う。
親としての愛なんか微塵もない親父の目に、修二は言葉を無くし…後悔した。
来なければよかった。
「お前とは、もう親子でも何でもなかった筈だ、受付通して貰わないと、この部屋に勝手に出入りされては困る」
二人は睨み合った。
本当に、俺の身体はこいつの精子から出来たものか、疑った。
が…後ろから声がする、殺るのか! 殺るんだな……。
修二は奥歯噛み締め、その場に土下座した。
「親父助けて欲しい…こんな事、今更言えた義理でない事はよくわかってる。もうどうしようもない、助けてくれ…この通りだ…」
フロアに額を擦り付ける修二。
「また金か?」
冷たく尖った針を、頭に突き刺す父親。
「一生涯で最後、これからは何でもするよ、言う事聞くよ、組から抜けたいんだ、必ず返していくから、金貸してくれよ」
修二は、意地もプライドも、男気も全て捨てた。