着ぐるみの恋


月子の視線は、修二から窓外に移った。

終わった…本当にこれで終わり……。

あなたに応えたい魂と、あなたに応えられない体が、ここに存在する。

神様…物事の順番間違えなかったですか?

修二さんに出会い、付き合いが始まって、その後に病気与えてくれていたのなら、この恋の展開は、また全然違っていた。

なぜ? 出会う前に…先に病気くれたの?

月子は視線を修二に戻した。

そこには、優しい目をした修二。

言葉が出ないよ、でも言わなくちゃ……。

月子が言った、この世で一番哀しい声で、

「ごめんなさい」

修二は顔色一つ変えなかった。

ごめんなさい…ってか…俺の恋は独りよがりって訳なんだな…俺は…客だった。

   客、客、客

修二、お前は月子のただの客じゃないか。

ヤクザであろうが堅気であろうが、墨入れてようが入れてなかろうが…そんな事、はなからどうでもよかったんだよ。

それ以前の問題だったって訳……。

何てこった、笑わしてくれるよな、全く……。

玉乗りピエロが言った。

「わかったよ、部屋まで送っていく……」



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