着ぐるみの恋
月子は指輪を外した。
「これ…返すわ…」
と震える指先で、テーブルに置いた。
「それは、月子にあげた俺の気持ちだから、そんな事しないでくれ」
月子の瞳から涙が一筋、二筋、頬を伝う。
月子は、首を横に振り、途切れ途切れのやっとの声で言った。
「あなたに、応える事が出来ないから、これは頂けない……」
月子さんよ、お前は俺が初めて惚れた女だった。
お前は俺の人生観まで変えた。
俺はこの女に惚れ、そして振られた。
男、仲田修二、あっさり諦めると誓っただろうよ。
修二、今終わったんだ、しっかりしろよ。
修二は指輪を手にしたかと思うと、少し開いていた窓をさらに開け、夜のパノラマ遠くへと投げた。
俺の恋は終わった。
本当の俺を伝える事もなく終わった。
ダイヤの指輪は闇に消えた。
はかない命の流れ星~。