着ぐるみの恋


もう拓也には…人には…裸を見せる状態ではなくなった。

また病院を変えた。

診断結果と頂く物は同じ、違いがあるとするなら、軟膏の薬品会社の名前が違うくらい。

仕事から帰ると、ネットにかじり付き、尋常性乾癬の正体を調べ尽くした。

研究結果発表…原因不明の難病。

遺伝的な要素が強く、発病すると、殆んど治る事は不可能に近い慢性的な皮膚病だった。

ひどくなると、体中が発疹だらけになり、ヒョウの様になる…らしい。

遺伝? 父から?母から?

母とは思いたくない。

敢えて、父と思いたい。

そうよ、絶対、父に決まってる。

母を痛みつけ、殺し、その上に、まだこんな置き土産まで残していくなんて、殺してやりたいくらい憎い。

でも、誰も…死人は殺せない。

これから先…私はどうなるの?

この肌を抱え、どう生きて…どこへ行くの?

行く道はあるの?

蟻地獄に落ちた龍子は、砂の中でもがき苦しんだ。

まだまだ若い、結婚前の娘にとって、この皮膚病は致命傷だった。

課題には、色々種類あれど…これは…少々難題に属する。


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