着ぐるみの恋



月子の心はもう死んでいた。

修二と共に死んだ。

この世で心から愛した男は、拓也と修二だけ、もうこれ以上の男が現れる筈がない。

風の噂を信じれば、拓也はもう結婚していた。

皮膚病の方は、もう誰に見せても恥ずかしくない程に快復していた事もあり、必要とあらば、客を選び体も提供するホステスへと化けていた。

心の死んだ女にとって、体許す事など、いとも簡単な行為。

ご希望あらば、どうぞ~。

純粋バカ、小金持ちのおっさん、原田は…ホステスにとって格好の美味しい獲物だった。

ズングリムックリ、禿げ頭の脂ぎった男。

誰も男としては見ない、客として見るならば上ランク。

原田が口説く前に、月子から誘った。

見合いで結婚し、恋愛など無縁だった原田にとって、月子の存在は、若い月子の体は…強烈な麻薬となった。

麻薬中毒になった原田は、月子の奴隷となり、命令通り動いた。

毎日、せっせ、せっせと金を運んできた。

月子は、親子ほど歳の違う原田を「お父さん、お父さん」と呼び、甘え、ねだり、欲しい物を次々と手に入れていった。



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