着ぐるみの恋
宝石に時計、ブランドアイテム、靴、洋服…そして分譲マンションまでをも、終いには自分の城まで手中に収めた。
月子の城、クラブ「ムーンライト」が産声をあげた。
ホステス10数名を置くその店は、毎夜、盛況だった。
一周年を迎え、経営は順調に営まれていた。
ただ一つ……月子には頭の痛い問題が…。
原田が頻繁に店にやって来る。
そしてカウンター席から、店の様子と言うより、月子の様子を観察しに来るのだった。
これでは、月子にとって商売にならない。
お店にはあまり来ないでよ、私を信用して……と訴えても、原田は全く聞く耳を持たなかった。
何十歳も歳の離れた月子を、原田は心配で心配で仕方なかった。
月子に言い寄る客が現れたら、あの客は駄目だとか、あの客はもう店に入れるなとか、ことごとく口を挟んできた。
そんな為に、2周年を迎える頃から、店の経営は下降気味になってきた。