着ぐるみの恋


ここは言葉のない世界……魂が会話する。

 随分長く待たせたね。

 ずっと待っていたわ。

 愛は変わらないよ。


 私も変わらないわ。


変わったのは…お互いの置かれた状況だった。

言葉のない世界から、先に飛び出したのは修二だった。

人は、言葉で確認したがる動物。

「月子か……」

「修二さんなの…」

修二は、上から下まで月子を見た。

「修二さん…もう出て来てたのね…」

「…あぁ…ってか、まだつい最近、それよか、カトレアなくなったんだ?」

「えぇ……」

何を話していいかわからない二人、また言葉を無くす。

そして修二が聞いた。

「何処で、今勤めてる?」

月子が言いにくそうに答えた。

「私…今…自分でお店してるの…」

修二は、思いもよらない状況にびっくりして、

「へぇ~そうなんだ、このビル内? 」

意外な展開に、修二は驚きを隠せなかった。

「ここの2階よ。ムーンライトってとこ」

「俺は、ここの5階に知り合いと約束があって、今から行くとこなんだ」

「あっ、そうなの、じゃ一緒に上に…」

と二人はエレベーターに乗り込んだ。


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