着ぐるみの恋
龍子は仕事も辞め、兄の家で一緒に暮らす事になった。
可愛い龍子…可哀想な龍子…とても一人にはしておけない。
それに…こんなに病気を悪化させたのは、俺のせいだ。
龍子、許してくれ。
兄嫁は心から優しい女だった、龍子との同居を快く承知してくれた。
拓也からの連絡はいつしか途絶え、新しい彼女が出来たみたいだと……同僚からの電話で、龍子は知った。
死にたかった。
もう死んでしまいたい。
兄さえいなかったら、間違いなく、死を撰んでいた。
でも、兄を残しては死ねない。
私を無くした兄の事思うと…死ねない。
二人は固い固い絆で繋がった兄妹だったから。
この病気の幸いだった点は…顔、手首から下の手、足首から下の足に、発疹の出来る患者は少なかった。
首から手首、足首まで隠れるファッションで、龍子は夜な夜な飲み歩くようになった。
あちこちのクラブを渡り歩いた。
ふらふらの足取りで帰宅し、トイレに駆け込み戻す。
それからまた、冷蔵庫から缶ビール取りだし…戻した量のアルコールを補充。
アルコールで麻痺させ、病気を忘れたかった。
酒の量が日に日に増えていく。