着ぐるみの恋
月子はバーのドアを開けた。
スローなジャズ流れる薄暗い店内…古びたバーの奥に修二が座っていた。
かって愛し合った二人…誰よりも激しく、誰よりも哀しく、誰よりも純粋だった。
月子がゆっくり話し出した。
「あの頃ね…私…アトピーとか言ってたけど、本当はもっとひどい皮膚の病気だったの。尋常性乾癬って病名…知らないでしょ?一生治らないって言われてた。今でも完全に治った訳じゃないけど、あの頃に比べると、もう天と地の差くらい…全身がヒョウ柄みたいにひどかったんだ。隠して隠して仕事してた……。
修二さんに会って一目惚れして、でも修二さんも全然口説いてこなかったし、そのままずるずると…私…甘えてたのよね。
早く話せばよかったんだけど、修二さんに嫌われたくなかった。
本当に好きだったから、真実話して、嫌われれること恐かったんだ。最後にあった日、あの時…どれだけ真実話そうかって思ったんだけど言えなかった。本当は、修二さんと朝までいたかった、あの時ね…この肌さえ、何もなっていなかったら…」
「そうだったのか……俺は…月子の心に惚れてたんだよ…出来れば言ってほしかった…話してくれてたら…」