着ぐるみの恋
あの時、あの日に話してくれていたら、あれからの展開は変わっていたんだろうか……それはわからない…修二は、意外だった真実をどう整理していいか、わからなかった。
月子は続けた。
「言えなかったの…あなたに醜い肌さらすより、綺麗と思われたまま別れたかった、女だから……」
「そっか…女だもんな…でも、ありがとな…俺は…その言葉で救われたよ…」
俺は振られた訳ではなかったんだ…。
この恋の方程式…答えを書くのに、七年も費やしてしまった。
「修二さん、ありがとなんて言わないで、あなたが好きだった、それだけが真実……後は私、嘘の固まりで生きてきたわ。私の父はね、本当はヤクザのチンピラで、背中には龍の入れ墨……その龍の子供で、父がつけた私の名は龍子。母に苦労かけて死なせて、それから自分も呆気なくやられて…父が死ぬほど憎くて、それからヤクザを毛嫌いするようになったの……」
「俺の墨…知ってん、だよな?」
「えぇ、あの事件の後ね、色んな情報から、修二さんの事知ったわ。もとは、仲田病院の息子であった事も、ワイドショーとか週刊誌も読みあさったし」