着ぐるみの恋


男関係か…金問題か…商売に関する事か……月子に降りかかる哀しみを色々想像していたが、心を救うとは一体、どうゆう意味だ?

俺はどうすりゃいいんだ?

月子はワインレッドを喉に流した後、修二の疑問に答えた。

「7年前と逆よ……私を抱いてほしいの。一度だけの遊びでも構わない。このまま…一生…死ぬまで…修二さんに抱かれずに生きていくなんて…私…きっと後悔残してしまう…」

考えてもいなかった月子のセリフに、修二の胸中は死ぬほど動揺していた。

だけど…そこは男、態度や表情には出さない。

ワインをグイッと飲み、 いきなり、黒のタートルネックを脱いだ。

修二は、背中を月子に見せた。

ヤクザでもいいのか?のサイン……。

色鮮やかな観音菩薩様……小さな赤ちゃんを抱いている。

修二が背を向けたまま、聞く。

「これでいいのか?怖くないのか?」

「懐かしいわ、お父さんの背中、思い出した……」

と月子は、修二を後ろから抱きしめ、背中に頬擦りした。


月子の頬を伝う涙…観音様が優しく吸い取った。

「墨も……許してくれるんだな?」

「人の体は…ただの着ぐるみ…私は、あなたの魂に抱かれたい……」

 
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