着ぐるみの恋
お兄ちゃん、ごめんなさい。
父を憎むお兄ちゃんの核心は…身がちぎれるくらいに分かるし…私も今まで同じ気持ちだった。
でも……私はそこから抜け出たい。
人が人に惚れるという事……。
かって世間の誰からも反対されながら、お母さんが父を選んだ様に、私も……修二さんに惚れて、やっと分かったの。
父を…お父さんをね、理解する事が出来たのよ……。
長い歳月をかけて…修二と月子の魂は重なった。
感じる?感じない?
いった?いかない?
気持ち良い?良くない?
そんな俗語は…最早、無縁の世界……。
長い旅だった…傷だらけになりながら、ようやく辿り着いた魂の重なり。
もう、離れたくない。
もう、離さないでよ。
ぴったり密着した魂が、呼吸のリズムを合わせ…神様にお願いする。
やっと、ここまで来ました、この二個を引き離さないで下さい。
願いは受理された。
が………旅はまだ終わりじゃなかった。