着ぐるみの恋


お兄ちゃん、ごめんなさい。

父を憎むお兄ちゃんの核心は…身がちぎれるくらいに分かるし…私も今まで同じ気持ちだった。

でも……私はそこから抜け出たい。

人が人に惚れるという事……。

かって世間の誰からも反対されながら、お母さんが父を選んだ様に、私も……修二さんに惚れて、やっと分かったの。

父を…お父さんをね、理解する事が出来たのよ……。


長い歳月をかけて…修二と月子の魂は重なった。

感じる?感じない?

いった?いかない?

気持ち良い?良くない?

そんな俗語は…最早、無縁の世界……。

長い旅だった…傷だらけになりながら、ようやく辿り着いた魂の重なり。

もう、離れたくない。
もう、離さないでよ。

ぴったり密着した魂が、呼吸のリズムを合わせ…神様にお願いする。

やっと、ここまで来ました、この二個を引き離さないで下さい。


願いは受理された。

が………旅はまだ終わりじゃなかった。

< 198 / 248 >

この作品をシェア

pagetop