着ぐるみの恋
準備を終えた修二が、マンションから出て来た。
停まっていた車の運転席から、修二の舎弟が出て来て、後部座席のドアを開けた。
その様子を、物陰からじっと見ていた男。
全身黒づくめのその男は、敵の稲田組、下っぱの名も無き鉄砲玉。
手には銃を持ち、先は修二に向けられていた。
一瞬だった、ズドン!
その時、修二に向かって体当たりで走って来た男がいた。
何処かで見たバーコード、あの原田がナイフを手にしていた。
「あっ……」
原田に刺された修二はその場に倒れ、刺した原田も修二に被さるようにして倒れた。
稲田組の修二を狙った弾が…原田の背中に的中してしまったのだ。
血の海にぷかぷか浮かぶ男が二人……。
二人は哀しき恋かたき。
惚れて惚れて惚れ抜いた結末に、血の海を見た。
恋しい相手は何処ですか?
港でウットリと夢見ています、愛する人に会える夢見て…来ない相手を待っています。