着ぐるみの恋


刑事が月子に話しかけてきた。

「君、名前は?」

「三山、月子、いえ本名は龍子です」

「先ほど、電話で話した人だな?」

「えぇ……」

「修二さんは、修二さんは、今、どんな状態なんですか?」

「まだ、何とも言えない」


修二さんは扉の向こう……どうか、修二さんの命助けて下さい。

もう夢なんてみない、一緒になれなくても、一生会えなくてもいいから、あの人を助けてあげて~

暫く時間が経過した。

意識朦朧とした月子の前で、刑事達は日常茶飯事の出来事の様、淡々と話し込んでいた。

治療室のドアが開いた。

医者が出て来て言った。

「命は取り留めた、サラシ巻いてたからね、思ったより傷が浅かった」


修二さんが助かった……生きてた……。

月子の目から滝の様な涙が溢れ出す。

何があって、どうなって、今何処にいて、何が進んでるのか、何も分からない状況の中で……忘れてた涙が零れてきて止まらない。


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