着ぐるみの恋
兄が東大の医学部に入学した頃、修二も辛うじて私立の高校へと入った。
高校入学祝いに、バイクが欲しいと母親にねだった。
仲間の中でも、一番のバイクを買って貰った修二は、そのバイクと共に、仲田家を後にした。
高校なんか行く筈もなく、連れの家で寝泊まり、ある仲間の紹介で、大山組の若い衆、森田正と知り合った。
森田が得意気に話す。
組長に、50万のロレックス貰ったとか、キャバクラ嬢3人と3つ股してんだよとか、自分の名刺見せるだけで、皆びびるのさとか……。
ヤクザの世界を聞かされた修二は、興味と憧れで胸が躍った。
面白そうだ……。
「一度事務所に、連れて行ってくれよ」
修二は森田に頼んだ。