着ぐるみの恋
修二さん…私は、やっぱりあなたが好きです。
どうしてもどうしても好きなの…。
私は、また恋に落ちた。
あのエレベーターで初めてあった日、恋に落ちてから、もがきあがき苦しみ…やっと這い上がって7年が経ち、再会したら、また同じ深い穴に落ちてしまった。
兄ちゃんの手を掴み…この深い穴から出ようとした瞬間の事…足を滑らし…まっ逆さまに落ちて行く私…。
ここに来るべきではなかったのかも知れない。
いいえ、私は…こうなる事を予想し、本当は来たのかも知れない。
私にあなたを断ち切るなんて、出来そうにもありません。
この魂が、あなたを求めているの。
それからと言うもの、店の後始末に部屋探しと称して、月子は毎日、修二の病院へと向かった。
部屋の前には、いつも5、6人の舎弟達がガードしていた。
「姐さん、ご苦労様です」
毎日、舎弟の挨拶で、月子は迎えられる。
これがヤクザの世界なのね。
いつかテレビで見た事のある、異様な空気が漂う場所。
私は…もうそこに足を踏み入れてしまった、自ら望んで……。
お兄ちゃん……私は、また…あなたを泣かしてしまうかも知れない……お兄ちゃん…。