着ぐるみの恋
一階が事務所、二階が自宅となった、大山秀吉宅に、修二はやって来た。
これが、運命の出会い……。
大山秀吉…恰幅のいい体型に、余裕の態度と表情、ブランド物や宝石で身を包み、家来である若い衆達に囲まれていた。
ガレージには外車が数台、ドーベルマンが二匹、いかにも高そうな家財道具に室内装飾品。
大山がニコッと笑みを浮かべ、修二に言った。
「坊主よ、どや?ここで修行してみるか?」
修行? ってどういう意味なんだ?
まぁ、いいか…この男に…この世界に興味が湧いた。
いったいどうゆう仕組みになってんのか、社会見学さ。
「はい!」
修二は元気のいい声で返事した。
知らぬが仏…誰が考えたことわざか…昔の人間は偉い。
大山は関西生まれ…その凄みのある関西弁は、いつか修二が見たヤクザ映画そのままだった。
この大山の口調に、修二は強い憧れを持った。