着ぐるみの恋
修二…二十歳になる。
大山に話があると呼び出された。
「修二よ、垢抜けて、ええ男になってきたな……どや?使い走り稼業は、もうこの辺で卒業するか?
会社でも興して、代表になりたないか?
修二よ、これはお前見込んでの話や、企業の社長になるんや。
もう便器なんか磨かんでもええ、どしっと構えて、美味しいもん食べて、ええ女抱いて…金は会社が産んでくれる、どや?俺の言う通りにするか?」
こんなヨダレが出るような話…嬉し過ぎる。
夢みたいな話が、転がり込んできた。
「組長の言う通りにします!」
俺はラッキー!
ジャパニーズドリームがやって来た!
「飲み屋にレンタルする会社や、おしぼりやら観葉植物やらを。会社興すのに…ざっと2千万ぐらいは資本がいる。半分は俺が何とかしたるさかいに、残りの半分は…親に言うてこいや」
修二は真顔になった。
「…親ですか…」
「お前んとこ、病院やってんのやろ? それぐらいの金なんか、はした金と違うんか?」
修二は言葉に詰まった。
「…………」