着ぐるみの恋
大山の話は続く、修二の顔色を見ながらゆっくりと……。
「嫌やったら、別にええねんで。他の奴に話まわすさかいに…まだ暫くは、飯炊きで我慢するか、修二よ…」
チャンスが逃げて行く。何してんだよ、修二!早く掴めよ!
「わかりました。親に言ってみます」
修二は、たまに母親とは会っていた。
金が無くなると連絡を取る。
二人は、金と言う絆で今でも繋がっていた。
「お袋、何も聞かずに1千万貸して欲しい。その内、直ぐに返すからさ」
「1千万?無理よ、そんな大金……それに、もう修ちゃんにはお金渡すなって、お父さんから止められてるのよ」
少し間が開き、お袋が嫌な口調で話し出した。
「修ちゃん、あなた、ヤクザ屋さんと…付き合ってるって聞いたわよ、そうなんでしょ? 」
そんな問いは無視して、俺は必死にすがり付いた。
「お袋、頼むよ、仕事の金なんだよ、会社しようと思ってんだ、儲かれば直ぐに返せる金なんだよ、なぁ~」
「私に言っても無理だから、お父さんに直接言いなさい」
電話は冷たく切られた。