着ぐるみの恋
修二は、大山に相談した。
大山の顔は綻んだ。
「修二よ、上等じゃねえか、そんな親なんか、こっちから捨てたれや、お前の親父はここにおる、わしや…ちゃんと縁切って、金もうてきたら、わしと親子の盃、交わそやないか」
修二は、父親と会う事になった。
久しぶり我が家に帰った。
懐かしい匂いが、修二を包む。
冷たい関係とは言え、そこは家族四人が生きてきた場所だった。
意気込んで来たものの、ふと寂しい思いが胸を過る。
縁を切るのか…修二。
心が戸惑う。
約束したその日、家にいたのは父だけだった。
小切手を目の前に、無表情の父がいた。
「今後いっさい、この家とは無関係の人間だ。親でもなければ、子供でもない。いいな?約束出来るんだな?」
何だよ?いきなり本題かよ?
久しぶりの再会なんだぜ。
「……お袋は?」
「今朝…ラスベガスに行った…」
はぁ?
「俺が来る事、ってか、この事知ってんのかよ」
「二人で話し合った結論だ」
こんな日に、遊びに?
お前さんが産んだ息子と別れの日なんだぞ!
あんた、何考えてんだ?