着ぐるみの恋
(有)仲田サービスは、レンタル業から金融業、不動産業までに手を出し、乗りに乗っていた。
大山に納める上納金の額も、今では組の中で三本の指に入っていた。
金はある、自由の利く金はいくらでも、これからも、不自由しない自信も持っている。
分譲マンションも買った、事業用とは別に、自分専用は最高級ベンツ。
若い衆は20人近くに増えた。
ただ、ただ、修二には一つだけ足りないものが…女を好きになれない、ホモでもない…恋心を知らない男だった。
女は適当に幅広く付き合ってきた。
が…それは排泄の道具。
女なんか…女なんか…女なんか……。
高慢で、嫌味で、冷たくて、勝手者で、自分の事しか考えない生き物さ……。
母親に対するトラウマが、修二の女性観を染めていた。
それは…月子と出会うまでの事……。
つきこ…カトレアのつきこ…エレベーターが開いた瞬間、そこに観世音菩薩がいた。
俺の観音様だ……。
修二の心は熱くなっていた。
心が旅の準備を始めた。